ストリップのホテル街から徒歩でアクセス可能な本格派ショッピングモール。『THE
CLOUD』と呼ばれる巨大な屋根が目印。
お洒落な名前に加え立地条件も良いとあって、日本人観光客の間でも人気が高い。場所的にも規模的にもここを抜きにラスベガスでのショッピングを語ることはできず、ショッピング族にとっては必見の場所といってよいだろう。
なお、この『FASHION
SHOW MALL』と「ファッションアウトレット」を混同する者が多いが、両者はまったく別物なので注意が必要だ。ちなみに「ファッションアウトレット」はホテル街から車で45分ほどの砂漠の中にある。
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まず最初に、『FASHION
SHOW』という名称についてだが、このお洒落な名前は単なる「イメージ」で付けられたわけではない。かつてここのショッピングモールの中央広場では実際に「ファッションショー」がしばしば行われていた上、現在も過去の伝統を引き継ぎ、新設された『THE
GREAT HALL』と呼ばれる屋内広場で毎日「ファッションショー風のアトラクション」が行なわれている。そういう意味では、このユニークな名称もまったく実態からかけ離れているわけではない。
この『FASHION SHOW
MALL』は「百貨店が数店入居し、その百貨店と百貨店の間の通路を一般小売店が埋めつくす」という構造上の観点から言えば、全米各地で見られる「ショッピングモール」となんら違いはないが、規模が非常に大きいことと、場所が世界に冠たるストリップ大通りのホテル街にあるという事で、コンセプト的には一般のモールとはかなり趣を異にしている。ひとことで言ってしまえば、「観光客およびハイエンドの客層をターゲットにしたショッピングモール」
といったところか。
その証拠に、一般大衆はまず見向きもしないルイヴィトンなどが入居していたり、また、本来であれば家庭雑貨なども多く取り扱う『macy's』などの百貨店が、このロケーションに限っては「アパレル」、「アクセサリー」、「化粧品」といったファッション関連商品しか取り扱っていないなど、明らかに生活臭漂う分野を避けファッショナブルな分野に特化し、観光客およびハイエンド層をねらっている傾向がうかがえる。
また百貨店以外の一般テナントにおいても『ANN
TAYLOR』、『BCBG』、『bebe』、『Clio
blue』、『COACH』、『EXPRESS』、『GAP』、『J.CREW』、『Limitedbrands』、『NINE
WEST』、といったそこそこ名の通ったブランド店が目立ち、ナベやヤカンのたぐいを扱う雑貨店が多いベッドタウンのショッピングモールとは明らかに様相を異にしている。
日本からの観光客(特に女性)にとってここのショッピングモールの魅力はなんといっても百貨店だろう。長い間『Neiman
Marcus』、『SAKS
FIFTH AVENUE』、『ROBINSONS
MAY』、『macy's』、『Dillard's』の5店だったが、大規模な拡張工事が終了した2003年以降、『NORDSTROM』と『bloomingdale's
home』が加わり、現在は7つの百貨店が軒を並べている。どの百貨店もファッション関連商品もしくは高級家庭用品に特化しており、自社ブランド品の売り場よりも、一流デザイナーブランドのデパートメント
(販売部門) がフロアの多くを占めているのが特徴だ。
モール全体の中央付近に設けられた屋内広場『THE
GREAT HALL』では「ファッションショー風のアトラクション」が行なわれていることはすでに述べたが(月曜日と火曜日を除く毎日、1:30pmから7:30pmまで1時間おきに7回行なわれている。ただし日曜日だけ5:30pmまでの5回。なお季節などによって変わる可能性があるので、詳しいスケジュールはその都度インフォメーションデスクで確認した方がよいだろう)、各回のアトラクションにはそれぞれユニークなタイトルが付けられており、『POOL
SIDE』では南国風の音楽をバックに水着姿のモデルが登場し、『HUMANMANNEQUINES』ではシューズ、帽子、ベルト、ハンドバッグなどのアクセサリー類を使ったショーが披露される。その他に『AMERICAN
STYLE』、『HERE
+ NOW』、『PHOTO
SHOOT』などのタイトルがある。
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否が応でも目立ってしまう巨大屋根『THE
CLOUD』は、まるで雲のような存在であることからそのように命名されたとのことだが、これは単なる日よけ用の屋根ではなく、スクリーンも兼ねており、夜になるとそこにさまざまな映像が映し出される
(左の写真、クリックで拡大表示)。
さらにその屋根の下の広場には、ハイテクを駆使した大型オーディオビジュアル装置が多数あり、音や光の演出によるアトラクション広場として注目を集めている。
参考までに、こんなユニークな屋根を企画したのは、モール自体を所有し管理運営する名門デベロッパー『Rouse
社(NY証券取引所の会社コードは『RSE』)』で、東海岸メリーランド州に本社を置くが、ラスベガスでも、発展著しい新興住宅地『Summerlin』地区の開発にかかわった会社として名高い。 |
『THE
CLOUD』がある広場のすぐ脇にあるガラス張りの建物は、ファーストフード店が軒を並べる広大なフードコート。
『CAESARS PALACE』の『FORUM
SHOPS』や『VENETIAN』の『GRAND
CANAL SHOPS』などと異なり、このファッションショーモール内にはレストランがほとんどないので (『スターバックス』やピザ店程度はあるが)、食事をする際は多くの場合、ここで食べることになる。ちなみに和食や中華もあるが、しょせんはファーストフード、あまり高いレベルを期待しない方がよいだろう。
なお、百貨店『Neiman
Marcus』に隣接するカフェおよびレストランは、ファーストフードではないため値段はやや高いが、なかなか評判がよい。
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